第2回 新刊発売前夜

rn pressの事務所です。腰が痛くならないオフィスチェアを誰か教えてください……。
「東京→福岡→東京」めくるめくサイン本作り
こんにちは。rn pressです。いよいよ来週8月8日に佐々木充彦さんの新刊『キャットウォーク』が発売されます。発売間近でrn pressの事務所は段ボールで埋もれています。みなさまに無事にお届けできるよう、真心込めて梱包いたします!
さて、多くの編集者が決まり文句のように「校了つらい」「徹夜したわ……」と言うものだから、出版以外の仕事をしている人から見たらよほど大変なことをしていると思われがちな「校了」ですが、スケジュール通りに動かせるよう根回しを怠らなければ徹夜をすることもなく定時で校了することができます。むしろ「徹夜で下版日の朝にギリギリ間に合ったぜ!」「朝、印刷所に滑り込んだ!」と武勇伝のように語るのは大変恥ずかしいことです(ギリギリまで粘るものももちろん大事ですが)。
という感じで“編集者あるある”に毒を吐きつつ、今回も無事に校了を迎えてひと段落……と言いたいところですがrn pressの場合は校了後の発送作業が大変です。rn pressの本の納品場所は主に取次代行をお願いしているトランスビュー倉庫と、rn pressの事務所です。
rn pressでは著者に毎回サイン本を大量につくってもらうこともあり、まずは届いた本を著者に発送します。東京の作家さんの場合は発送せずにrn pressの事務所でサイン大会を開催していますが、今回の『キャットウォーク』の著者・佐々木充彦さんは福岡県在住なので、発売日までに東京発→福岡でサイン→東京着という流れで、荷物が行ったり来たりしました。いろいろな運送サービスがありますが、ゆうパックだけが東京・福岡間を1日で運んでくれます。聞くところによると航空便なんだそうです。つまり空を行き来していたのですね。楽しい。

本日のrn pressの事務所です。発送が溜まっています。
ちなみに今回の『キャットウォーク』は1冊約400gで、印刷所から10冊ずつ紙で包まれて納品されます。それを段ボールに入れて、黙々と各所に送付していく作業をします。1つの段ボールには40冊入るので16kg。今回は段ボール8箱分を発送したので、合計128kg分の荷物をよっこらせと詰め込む作業です。腰がバキバキです。
というわけで無事に佐々木さんにサイン本をつくっていただき、本日、rn pressから直取引の書店さまと、オンラインショップのお客様に発送しました。明日か明後日くらいからみなさまのお手元に届くのではないかと思います。
編集者として長く仕事をしてきた身としては、校了前より後のほうが目が回るほど忙しいです。アウトソースをすればいいのでは……というご意見もいただくことがあるのですが、愚痴りながらもコマゴマした仕事が好きで、作ったものをお客様に直接送ることができる幸せを噛み締めているので、「つらいけど(から)楽しい」というMっ気だけでなんとかやれているのがrn pressです。

rn press事務所の近所の小金井公園です。ベンチで気持ちよさそうにしている女性が素敵で、思わず後ろ姿を撮ってしまいました……。
今日マチ子さんのセミオーダー複製原画発送完了
6月末にオーダーを締め切った今日マチ子さんのセミオーダー複製原画が、ついに出来上がりました。今週金曜日(8月5日)にrn pressより発送完了しています。今春、今夏に開催された展覧会で飾ったものもアウトレットで販売していますので、もしよろしければ。直筆サイン入りです。
みなさまの嘘をお待ちしています
年に一度、秋に刊行している文芸誌「USO」の制作が始まりました。みなさんに原稿のご依頼をしている段階なので、まだ全貌は見えないのですが、今回もなかなか楽しい嘘をお届けできそうです。「面白い嘘をついてきた」という方がいらっしゃいましたら、メールをいただけると嬉しいです。

今週の猫店長モリオのおすすめの本
今週はせっかくなのでrn pressの本をご紹介させてください。北村みなみさんの『グッバイ・ハロー・ワールド』です。これは昨年5月に発売された本で、文化庁メディア芸術祭漫画部門で審査員会推薦作品に選出されました。
この作品は雑誌「WIRED」で連載をしていて、rn pressの野口が外部編集として連載担当をしています。毎回、著者である北村みなみさんとウーンウーンと唸りながら作った作品です。あまり編集者として作品について書いてこなかったので、せっかくのなのでこの機会にちらりと。
「WIRED」はいわゆるテクノロジーメディアですので、日常的に汎用型AIだとかCRISPR-cas9だとかブロックチェーンというような小難しい話をしているのですが、それらをわかりやすく噛み砕いて説明をするにはどうしたらよいのだろう……と日々頭を悩ませています。やはり漫画だととっつきやすいですし、だからといって解像度が低くなってはいけないので、限られたページ数のなかで、いかに読者を引き込み、しかもテクノロジーにも興味をもってもらうのか。……という無茶振りともいえるお題に毎回100%の力で応えてくれたのが北村みなみさんでした。
9つの短編(連載では7編。2編は単行本描き下ろし)が収録されていますが、どの作品もそのときどきの雑談が散りばめられています。
「牛から排出される温室効果ガスがやばいらしいです」
「中国でゲノム編集ベビーが生まれたそうですよ」
「(取材先の)オランダの安楽死を処方する医師は辛そうでした」
うんぬん。テック系のニュースを新宿の喫茶店であれやこれや話していたのが懐かしいです。SFプロトタイピングが流行っていますが、『グッバイ・ハロー・ワールド』は、社会課題が凝縮されているような1冊で、既存のテクノロジーをベースにした現実と地続きの未来が描かれています。
RIGHT NOW BOOKSTANDEではサイン本も在庫僅少ですがお取り扱いがありますので、ご興味ある方はぜひ読んでみてください。
次回は8月20日更新
先ほど、漫画家の西島大介さんが自転車でふらりと遊びに来ました。事務所でコーヒーを飲みながら土曜日の午後を楽しく過ごしました。
ちなみに西島大介さんとのポッドキャストはこちら。
rn pressでは、USO4のほかにも来年に向けて新しい企画もいくつか動いていますのでお楽しみに! 先日、黒鳥社の若林恵さんにエイリアンシリーズとプレデターシリーズの時系列を丁寧に解説したのですが、彼はちゃんと観てくれるでしょうか。次回で顛末をお届けできたら。次回の更新は8月20日です。よければニュースレターのご登録をどうぞ。
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