第8回 You say yes, I say no.

出版社アールエヌプレスがお届けるニュースレター(隔週土曜日)。編集部の様子と、おすすめの本などを紹介していきます。
rn press 2022.10.29
誰でも
事務所のあるhoccoは緑からオレンジ色に変わってきました。

事務所のあるhoccoは緑からオレンジ色に変わってきました。

今週の編集部

「USO4」、ついに校了しました。いや、嘘です。まだ付物が残っています……。

校了というのは毎回、命を削る作業で、今回の「USO4」はシリーズ最厚・328ページ超の大作ということもあり、そりゃあもう大変なんですよ……。喩えるなら、フルマラソンの最後の100メートルを自分史上最速でダッシュしろ! と言われているような感じです(わかりづらいですね)。最後はデザイナーさんと私の足を紐で結んで二人三脚で世界記録を出せ! みたいな感じです(もっとわかりづらいですね)。

「USO」は創刊号から藤田裕美さんにデザインをお願いしています。この本は藤田さんがいないと絶対に成立しません。深夜に赤字の出し戻しをしていると、ああ、いま忙しいんだろうな、とか、今日ちゃんとご飯食べたかな、とか、ちゃんと休めているかな、とか、離れて作業をしているのだけど、なんとなく一緒にいるような気持ちになります。

「え……、何、急に……」とご本人からドン引き引されそうなのでこのくらいにしますが、とにかく感謝の気持ちを伝えたいのです。いつもありがとうございます!

そして校了の直前に別のお仕事で、久しぶりに武邑光裕先生にお目にかかりました。ベルリンの壁崩壊後のベルリンカルチャーをまとめた『ベルリン・都市・未来』(太田出版)の担当編集をしていて(この本も藤田さんがデザインを担当しています)、武邑先生とはその本の打ち上げ以来でしたので三年ぶりくらいでした。とても快活で、相変わらず話が面白すぎて、すっかり聞き入ってしまいました。

長野でサイン会を開催します

今日マチ子さんの「Essential」のサイン会+複製原画展を、長野県駒ヶ根市にあるトオクさんで開催します。複製原画の展示・販売もしますので、ぜひ足を運んでみてください。私は今日マチ子さんのデビュー作『センネン画報』から担当していますが、少なくとも私が担当した書籍では長野でサイン会を行ったことはないので、初長野! です。

サイン会は20名さま限定です。長野のみなさま、どうぞよろしくお願いします。

今日マチ子さんと、僭越ながら私も「コロナ禍で読んだ本」をいくつか選書しました。トオクさんで棚をつくってくださるようなのでそちらもぜひ! 長野、寒そう〜!

<Essential わたしの#stayhome日記 2021-2022 今日マチ子作品展>

会期:2022年11月4日(金)- 6日(日)11:00-17:00

TEL:050-3201-3804

空間演出:岩本牧子 @iwamotosan3

ーーーー

<今日マチ子さんのサイン会>

日時:2022年11月5日(土)11:00-

定員:20名(事前予約制・先着順・10月15日よりご予約承ります)

予約方法:①お名前 ②お電話番号 ③参加人数を下記のいずれかの方法でお伝えください。

・トオクのメールアドレス / tooku_sayu@tooku.jp

・トオクの店頭にて

かわいい表紙! いいでしょう〜!(自慢)

かわいい表紙! いいでしょう〜!(自慢)

USO4予約をスタート

オンラインでは書店の店頭よりも少し早めにお届けできそうです。最速で11/16〜17くらいです。ご予約はこちらから!

今回の特集は「YES・イエス・肯定」です。さまざまな方に自己肯定感と嘘についてご執筆いただいています。みなさんの原稿、本当に凄まじいです。大きく共感しすぎて脱力したり、読んでいて涙が溢れてきてしまう原稿もあります。ガツンと頭が痺れる嘘シリーズ、今回はシリーズ最厚、ずっしり大ボリュームでお届けします。

執筆陣:

今日マチ子、少年アヤ、大横山飴、岡藤真依、石山さやか、西島大介、佐久間裕美子、辻山良雄、旦悠輔、早坂大輔、年吉聡太、矢代真也、野口理恵、若林恵、他。

今回はせっかくなので特集の「YES」から、素敵な一文をご紹介します。

「愛してる?」と聞かれたときにどうしても口ごもってしまったりします。「YES」ということばがどうしてもうまく出てこないのです。「YES」ということばがとてつもなく危険なことばに思えて、怖さが喉の奥からせりあがってきて、口がからからに乾いてしまいます。そのときあなたは必死でガードを固めようとしているに違いありません。なんとか自分を手放さずに済むよう、自分というものに必死にそれにしがみついているのです。
 自分というものの一体何がそんなに大事なのか、と頭で考えることは簡単です。けれども、いざそれを手放せと言われたら、やはり、どうしたって、怖気づいてしまいます。そういう自分がダサいなと思ったりもします。そう思いながらも、「YES」ということばが、いつまで経っても怖いままなのです。
(若林恵「あめん」より)

「USO」を読んでいると、誰かの心の中に入りこんだような気持ちになります。

心の中にずっと大事にしまっていた言葉にならない感情が、初めて言語化されて、その言葉たちが初めて空気に触れて、キラキラと輝く感じ。「そんなにキラキラした美しいものを読ませてもらって、本当にいいんですか?」と、作っていてドキドキしてしまいます。ぜひ手に取って読んでみてもらいたいです。そして感想を聞かせてほしいです。「USO」は読者のみなさんの声で成り立つ雑誌です。

文学フリマ東京に出店します

「USO4」は書店よりも早く、文学フリマ東京に並びます。私(野口)が手売りします。

最近ひとりで出版社をやられている方が増えていますが、こういうとき、店番はどうしているのでしょうか。いつも疑問でした。私はこういうイベントのときはお店を空けるわけにいかないので、ご飯も食べられないし、トイレも極限まで我慢です。みなさまには、こういうときに駆けつけてくれる友だちがいるということなのでしょうか……。いいですね……。と僻みっぽくて恐縮ですが、人に気を遣うのもそこそこ疲れるので、今回もマイペースにがんばります!

今回の目玉は「USO4」の初売りと、USOシリーズのセット割です。そのほかにも今日マチ子さん、北村みなみさん、佐々木充彦さんなどのサイン本など、本屋さんからもいくつか本を持っていきます。

みなさまにお目にかかれるのを楽しみにしています。

モリオ店長の今週のおすすめの本

今日は宮坂道夫さんの『対話と承認のケア』(医学書院)をオススメします。

私事ですが、最近、趣味が高じて「終活ライフケアプランナー」という資格を取得しました。なんの資格かというと、エンディングノートを書くお手伝いをするものです。

考えてみたら特殊な家庭環境で育ったせいで十代から死生観について考えてばかりいます。誰に頼まれたわけでもなく、ただ好きだから、という理由で宗教や尊厳死、埋葬などの専門書を趣味で読み漁ってきたので、いつか何かに役に立てたら、と思っていました。エンディングノートを書きたい方、一緒に書きましょう!(ちょっとホラーみたいですけど、明日死ぬかもしれませんよ……)

と、なぜ宮坂道夫さんの『対話と承認のケア』かというと、この本は病気で死に対面した人と対話を重ねる“心のケア”について書かれているからです。これまで自分が経験してきたことをまとめて、自分史を書くこと(代理で書いてあげることも含む)が、どうケアにつながるのか。自分の人生はどうしたら承認されるのか。承認は心にどんな影響を与えるのか。「USO4」のYESにも通じるものがあると思います。

私は文章をささやかですが書くお仕事もしていますので、比較的言語化するのは得意なほうです。もしかして、何かお役に立てることがあるのでは? と妄想を膨らませてしまいました。生き様を聞き、自分史としてまとめるお手伝いができたら……。そんなお仕事、どこかにないですかねえ?

次回の更新は11月12日です

rn pressの事務所のあるhoccoは、公園の中にある施設です。一番のおすすめの時間帯は朝。渋谷に事務所を構えていたころに比べると、体感温度が1,2度低い気がしますが、植物が多いので空気が澄んでいます。朝日を浴びた落ち葉が、ヒラヒラと光って見えるのが本当に素敵です。朝、本屋さんは開いていないですけれども、ぜひお散歩しにきてみてくださいね。

ということで次回は11月12日です。「USO4」の見本誌到着の直前ですね。よろしければご登録ください! それでは、また次回。

無料で「猫と武蔵野とrn press」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら

誰でも
第22回 新天地へ
誰でも
第21回 台湾でのサイン会と取材旅行
誰でも
第20回 床で寝るのはやめよう
誰でも
第19回 あとは売るだけ
誰でも
第18回 エンドレス入稿
誰でも
第17回 ゲラに埋もれています
誰でも
第16回 ダジャレの効果
誰でも
第15回 カメラ目線をキメる猫